人材開発支援助成金とは、労働者のキャリア形成を段階的・体系的に支援する制度です。事業主が正規雇用する労働者に対して仕事内容に関連した専門的な知識やスキルを習得させるために、職業訓練等を計画的に行った際の経費や、訓練期間中の賃金の一部を国から助成されるものです。 対象者は正規雇用労働者(被保険者)であり、その正規雇用労働者のスキルを高め、企業の永続的な発展につなげていくことを支援目的としています。
●人材育成支援コース
以下の訓練を実施した際に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。
(1)雇用する労働者に対して職務に関連する知識やスキルを習得させるための訓練
(2)厚生労働大臣の認定を受けたOJT付きの訓練
(3)非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指す訓練
●教育訓練休暇付与コース
有給教育訓練等の制度を導入した上で、労働者が教育訓練休暇を取得し訓練を受けた場合に助成されます。ただし、このコースは令和8年度までの期間限定。
●人への投資促進コース
以下の訓練を実施した際に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。
(1)デジタル人材・高度人材を育成する訓練
(2)労働者が能力開発に向けて自発的に行う訓練
(3)定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス)こちらのコースも令和8年度までの期間限定。
●事業展開等リスキリング支援コース
新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い必要となる新たな知識やスキルを習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される。こちらのコースも令和8年度までの期間限定助成となっている。
●建設労働者認定訓練コース
認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練を実施した場合の訓練経費の一部や、建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合の訓練期間中の賃金の一部が助成されます。
●建設労働者技能実習コース
雇用する建設労働者に技能向上のための実習を有給で受講させた場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。
●障害者職業能力開発コース
障害者職業能力開発コースは、障害者の職業に必要な能力を開発、向上させるため、一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う場合に、その費用が一部助成されます。 費用項目によって支給額が変化します。
◆「人材開発支援助成金」の申請手順◆
それぞれのコースによって、支給申請方法は異なるので注意が必要です。ここでは、基本的な支給申請手続きの流れについて説明します。
(1)都道府県労働局に訓練計画を訓練実施の1ヵ月前までに提出
訓練計画の提出にあたって、社内における職業能力開発を推進する「職業能力開発推進者」の選任と、事業所の人材育成の基本的な方針を記載した「事業内職業能力開発計画」の策定・周知を行う必要があります。
(2)訓練計画書に則って実際に訓練を実施
(3)訓練を終了後、2カ月以内に労働局に支給申請を提出
提出書類には、支給要件確認申立書や支払い方法・受取人住所届、支給申請書などがあります。
(4)審査が通れば助成金を受給
◆「人材開発支援助成金」の注意点◆
●研修終了後に支給される
研修終了後に支給を申請し、支給審査を経て支給・不支給が決まるため、研修前に支給されることはありません。また研修を行ったとしても、必ずしも支給されるわけではないため、注意が必要です。
●要件が詳細に定められている
この助成金は、対象の訓練でなければ助成金が支給されません。また、対象の訓練であっても、訓練の実施時間や従業員の雇用形態、年齢、人数など条件が詳細に定められています。このため、申請をする際には支給要件を事前にチェックしておく必要があります。
●制度改正が多い
年度ごとに、コースや提出方法、要件などの改正が多くあります。そのため、申請をする場合には最新情報を把握しておく必要があります。
人材開発支援助成金とは、従業員に対して職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練等を受講する事業主を支援するための助成制度です。この助成金を活用して個人や会社の成長に活用してみてはいかがでしょうか?
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